Camilucci カミルッチ
イタリア Italia / Lombardia

ノン・マロラクティック、ノン・ドサージュのピュアさ
ラ・ヴァッレから独立し、有機栽培で葡萄の質を高める
フランチャコルタでは珍しいノン・マロラクティック、ノン・ドサージュで究極のピュアさを
❖東フランチャコルタ❖
シャンパーニュに遅れる事、30年。フランチャコルタでも個性的なレコルタン・マニピュラン的造り手が続々誕生。フランチャコルタの新時代が始まっています。
『ノン・マロラクティック、ノン・ドサージュ、樽熟成なしに拘り、垂直性のある独自のスタイルを確立し、イタリア国内で大きな話題になっているのがカミルッチ』
カミルッチ当主、ステファノ・カミルッチは母親と叔父が経営するフランチャコルタ・ラ・ヴァッレに参画。2008年からフランチャコルタ造りを開始しました。
『代々、東フランチャコルタ、ロデンゴ・サイアーノに葡萄畑を所有し、祖父の時代までは赤ワインを造っている農家でしたが、母親がフランチャコルタに参入します』
順調に6haにまで拡大しますが、叔父は栽培の効率化に取り組み始め、大量生産を目指す為にプレハブ工場に移転を決め、方向転換されてしまいます。
『ステファノは高品質フランチャコルタの醸造を目指し、独立を決意。2018年にカミルッチを設立。ロデンゴ・サイアーノの一部の葡萄畑を相続します』
現在、エルブスコ郊外にカンティーナを設立中。チェラーティカ、グッサーゴ、オーメ、モンティチェッリ・ブルザーティと色々なテロワールに小さな畑を購入。
『地元の東フランチャコルタの高齢の葡萄栽培の畑を買い取り、有機栽培に変更していきます。1つ1つの畑は1ha以下で非効率的ですが、複雑性が得られるのです』
現在では5つの村に30以上の細かい区画を所有していて、合わせて25haに達しますが、生産量は10万本程度という小規模カンティーナです。
『標高の高いオーメ、グッサーゴの石灰岩盤、モンティチェッリ・ブルッサーティのモレーン土壌と色々な個性の畑を所有し、その個性をアッサンブラージュする事で深みを得る』
❖ピュアさを追求❖
当主ステファノはフランチャコルタの優位性を主張。葡萄が完熟する事が可能で、完熟した葡萄が持つ多くの要素をワインに変えていく事を重要視します。
『収穫後、アルゴンガスを充満させ、酸素が無い状態にしたタンク内で空気圧を使い優しくプレス開始。1kgの葡萄から650mlしか搾汁しません』
酸素と触れない状態で、時間をかけて優しくプレスする事で葡萄の持つ個性を崩す事なく、ストレートにモストに移していきます。プレスや醗酵由来ではない葡萄由来の個性が大切。
『9段階のプレス圧があり、最初の2回までがキュヴェ(1番搾り)と呼ばれ最も純度が高いモスト。1kgの葡萄から200mlまでしか採れません』
3~7回までのプレスで搾汁されたモストは250ml程度でプルミエ・タイユと呼び、9回目までのプレスで得られる200mlのモストがセカンド・タイユとなります。
『セカンド・タイユは雑味があり、科学的にも不安定なので、発酵もスムーズではないので自分達のワインには使わず、コーペラティヴに販売してしまいます』
アンソロジーは究極のフランチャコルタを目指すので、プルミエ・タイユも使わず、1番搾りのキュヴェのみを使用。最も純度が高いモストのみの贅沢な仕上がり。
❖ノン・マロ、ノン・ドサージュ❖
『私の唯一の焦点は、土地の特色を際立たせる事。そして、レーザーのように的を絞ったフレッシュでピュア、そして垂直性のあるフランチャコルタを醸す事』
祖父のワイン造りを見て育ち、叔父と共に働き、フランチャコルタの土地の美しさを、情熱を最大限にワインに表現することを一番に考えています。
『全ての葡萄を、できるだけ遅く収穫し、欠点を隠したり角を丸くするような高レベルのドサージュ、オーク、マロラクティックは一切行いません』
酸度を優先せず、葡萄を完熟するまで待つことは、非常に危険な試みと言えます。ですが、土地の個性を最大化するという考えのステファノにとっては最も大切なのです。
■100%ノン・マロラティック・100%ステンレスタンク
『元々葡萄自体が持っているリンゴ酸、酒石酸を、そのままワインに残す事で葡萄本来の美味しさやバランスを失いません。独特のフレッシュな酸味が爽快感を与えます』
シャンパーニュではノン・マロラクティックのシャンパーニュは多いが、フランンチャコルタでは、まだまだ少数派。ノン・マロラクティック独特の個性も重要なのです。
■100%ノン・ドサージュ
『ドサージュで砂糖を足せるのはフランチャコルタだけです。スティルワインではあり得ません。葡萄本来の味わいを目指すのならば、糖分添加は避けるべき』
葡萄自体の美味しさ、バランスはドサージュによって大きく歪められてしまいます。それほど砂糖が味わいに与える影響は大きいのです。
■100%ステンレスタンク
『樽は香だけでなく、甘味、タンニンをワインに与えてしまいます。葡萄本来の味わいを目指すならば、これらの要素は避けるべきなのです』
密閉されたステンレスタンクでは嫌気的環境でワインが熟成され、酸素による味わいの変化を最小限に抑える事が可能。ステファノにとって、フレッシュさが大切なのです。