Solaris ソラリス
日本 Japan / Nagano
日本のワインは世界でも負けない
ボルドー大学卒、シャトー・ラトゥールでも研修を積むなど日本の醸造技術の革命者とも評される島崎氏が醸すマンズワイン小諸醸造所のソラリス。
量から質への転換
最も多いワインでも年産 500 ケースの生産量。「信州小諸シャルドネ樽仕込」は 5 樽。1,500 本という少 量生産の「ソラリス」。「マンズワイン」は 2 つのワイナリーを所有している。1 つは「勝沼ワイナリー」。甲州を 中心に大規模な設備で小売向けのワインを造っている。「ソラリス」が造られるのは「小諸ワイナリー」。1973 年 に設立された。醸造設備は小規模。
『高い品質を追求すれば生産量は減ります。勝沼と小諸は全く違う考え方です』
収量の多い国産品種を止めてカベルネ・ソーヴィニヨンや独自に品種交配させた信濃リースリング等に変 更。量ではなく質を高めることに集中。ソラリスは2001 年に初リリースされた。
『長野県上田と小諸の葡萄だけを使用し、徹底した収量制限を施した。剪定、グリーンハーヴェストは勿論、収穫も全て手作業。選果も手作業』
最も重要な畑である東山のカベルネは収穫時点での収量が30hl/ha。これはブルゴーニュのトップ・ドメーヌなみの低収量になっている。
日本ならではの雨対策
『肥沃で重い土壌の日本では畑選びが重要だが、そ れ以上に標高、方位、気温、水はけが重要』
契約農家の畑は細かく区分けされていて契約農家 1 軒あたりの所有面積は平均 1ha 以下。 現在約 40 軒の農家と契約している。自社畑と合わせて約 17ha の畑から「ソラリス」は産まれる。
『日本の一番の問題は降雨量。ヨーロッパの3倍以上。葡萄が水膨れしてしまう。品質を高めるにはレイ ンカット栽培は必須』
収穫前の雨は葡萄の水分量を増やしてしまう。雨が降る前にビニールシートを張り、雨が直接葡萄に当た らないようにする。
『地表近くは通気を良く保っているので湿気が溜ま ることもない。折りたためば直接陽が当たる』
レインカット栽培は 1996 年特許登録、1999 年には 科学技術庁長官賞を受賞した。
『独自の品種が信濃リースリング。シャルドネとリース リングの交配種で日本の気候と相性が良い』
「マンズワイン」が独自に交配させた品種信濃リースリング。シャルドネの開花前におしべを取り、リースリングの花粉で受粉させる。更に受粉させた葡萄樹の中から質の高い葡萄を着ける樹を選別し、苗木を作ります。10 年以上かけて 信濃リースリングを誕生させた。
『果実感がしっかりしていながらフレッシュな酸を残します。ドライに仕上げても甘口に仕上げても華や かな香が特徴的』
醸造責任者:島崎大
ワイン醸造を学べる山梨大学へ進学。1983年「マンズワイン」入社。1987年にはボルドー大学へ入学し利酒適性資格と仏国家資格醸造士を取得。
『在学中は白ワインの魔術師と呼ばれたドゥニ・デュ ブルデュー教授に学んだ』
卒業後は「シャトー・ラトゥール」での研修を経て帰国。欧州、南米で醸造経験を積み2000年から「ソラリ ス」の醸造責任者となる。
『ボルドーは最先端。日本は遅れている。振動式選果台、温度管理発酵槽、低温マセラシオン。最適の 醸造で正確なワインを造る』
一度葡萄を凍らせて圧搾する「クリオ・エクストラクション」や発酵後のワインに少量の果汁を加える「ジュ ース・リザーブ」等色々な技術が試されている。
『島崎大氏は 2007 年、ニューズウィーク誌で世界が尊敬する日本人100 人にも選出された』