Enza La Fauci エンツァ・ラ・ファウチ

イタリア Italia / Sicilia

5軒しかないファーロの個性を次世代に残す シ

チリア最古の DOC ながら衰退しているファーロを次世代に残す為に最良の区画を開墾。シチリアワインの専門家 「エミリアーノ・ファルシーニ」と共にファーロの個性を最大化する。

ファーロの独自性

シチリア北東部のメッシーナより更に北、ファーロ生 産エリアの最北、海まで 300m のコントラーダ「ピアノ・ ロッカ」に位置する「エンツァ・ラ・ファウチ」。

『他のシチリアワインとの一番大きな違いである「ノチ ェッラ種」の栽培に最も適した条件を持っているのが この地域と言われる』

海に近いので湿気が多く、斜面も東向きなので一見 すると優れた産地には思えないかもしれないが、湿 気を含んだ冷たい海風が過剰な気温上昇を抑え、 東向き斜面が夕日で葡萄が焼けることを防ぐ。 更に山から吹き降ろす熱い南風「シロッコ」も吹くので 1 年を通して風が吹き抜ける。この風が湿気を乾かし 続けることでファーロは成り立っている。

『海風を直接受ける丘の上で葡萄は海の影響と山 の影響を同時に受ける。ノチェッラがフレッシュさと 上品さを与え、他の地域にはない個性を得る』

1976 年にシチリアで初めて DOC に認定されたファ ーロはメッシーナから近く、人気だったが、今では衰 退し、造り手は最大手「パラーリ」を含め、5 軒しか存 在しない小さな産地になってしまった。 強すぎる風が新芽を折ったり、湿気によるカビ対策な ど毎日の手作業が必要な、厳しい産地なので造り手 は減ってしまったが独自のテロワールがある。

『トゥーフォ土壌と潮風が葡萄にミネラルを与えてくれ る。このテロワールの特徴を最も強く表現する品種 がノチェッラとネレッロ・マスカレーゼ』

ファーロは法規制上、ネレッロ・マスカレーゼが 45~ 60%、ネレッロ・カプッチョが 15~30%。その他品種 が 25%までブレンドできる。

『エンツァ・ラ・ファウチでは 15%ノチェッラと 10%ネ ロ・ダーヴォラを加えることでファーロらしさを最大限 に表現している』

ノチェッラはファーロにしかない品種。果皮が薄い為、 カビや病気に弱いので生産量が安定しない。しかし、 果皮に含まれる香成分が多く、酸とミネラルが豊富 なのでワインに上品さを与える。 ネロ・ダーヴォラは不安定なノチェッラと反対に毎年 安定した糖度を得られるので 10%加えることで最適 な糖度バランスを得ている。

グラーチ、G.ルッソと同じ醸造家

当主「エンツァ」はシチリア唯一の高品質グラッパ蒸 留所「ジョヴィ」の娘で大学卒業後、ジョヴィで葡萄の 買取りを担当していた。 品質の高いヴィナッチャを手に入れる為に造り手を 訪問しているうちにワインに興味を持ち、醸造学校に 入学してしまう。

『卒業後、2003 年にファーロの森を開墾し、葡萄を 植樹。元々森だったので 1度も薬品が使われていな い。今でも少量の銅と硫黄のみ使用する』

当初、醸造は「ベナンティ」に相談しながら自分で行 っていたが、よりファーロの個性を表現する為に「エミ リアーノ・ファルシーニ」を醸造責任者とした。

『エミリアーノはグラーチやジュゼッペ・ルッソの醸造 も担当するシチリアワインの専門家。土地の個性を 活かすワイン造りが特徴』

2007 年に「ベナンティ」に助けてもらいながら初めて ボトリング。2009年にはファーロ DOCとして正式に販 売を開始した。

『開墾する前は森。今も畑は 3方向を森に囲まれ、1 方向は海に向かって開けている。葡萄だけでない植 物、昆虫、動物が存在することが重要』

畑は 1 枚畑で森の中。他の造り手の畑とも面してい ないので一切の化学薬品の影響はない。2~3 年に 1 度のペースで植物性のコンポストを撒くが、それ以 外は銅と硫黄のみ。

アッサンブラージュが重要

『土壌はチョークと砂を含む粘土質で、ところどころ に「ミカ・ドラータ」と呼ばれるシスト状の岩が含まれ ている。これが鉄分を与える』

この種の土壌は痩せているので植樹したての若い樹 は灌漑しないと死んでしまうくらい水はけが良い。

『醸造は畑の隣にある醸造所で行う。全ての葡萄は 手作業で収穫され、黒葡萄は大型のプラスチック製 の桶に入れて足で潰して自然酵母で発酵』

一切酵母や蔗糖、酸も足さない。品種毎に分けて収 穫し、発酵。別々に熟成させている。

『できるだけ小さい単位で熟成させることで色々な 個性を持つベースワインができる。それをアッサンブ ラージュすることで複雑味を得る』

熟成は「ファロ・テッラ・ディ・ヴェント」で 12 ヶ月。「フ ァロ・オブリ」で 18 ヶ月。どちらもベナンティ等で使わ れた古樽のみ。新樽は使わない。

■Terre Siciliane Bianco “Case Bianche” 所有畑の中で砂質が強い区画に植えられた「ジビッ ボ」を 100%使用したキュヴェ。収穫後、6 度で 18 時間果皮も種子も残してマセラシオン。 自然酵母のみで発酵。3 ヶ月古バリック、3 ヶ月ステ ンレスタンクで熟成。

『ファーロでは珍しいジビッボだが、甘いだけでなく、 ファーロらしいミネラル感をワインに与えてくれるので エキゾチックで個性的』

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商品記号 ワイン VIN サイズ 参考上代 葡萄品種 メモ
A7415 Faro “Terra di Vento” / Enza La Fauci ファロ・テッラ・ディ・ヴェント / エンツァ・ラ・ファウチ 2018 750㎖ 3,400円 N.Mascalese NoceraN.CNdA シロッコが強く吹く
60%Nerello Mascalese, 15%Nocera, 15%Nerello Cappuccio, 10%Nero d'Avola 手収穫後、100%除梗するが、果実は潰さずに36時間置いておき、自然酵母が十分に繁殖した時点で足で葡萄を踏んで発酵開始。20日間のマセラシオン及び発酵後、古バリックに移して12ヶ月間熟成。

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A7416 Faro “Obli” / Enza La Fauci ファロ・オブリ / エンツァ・ラ・ファウチ 2017 750㎖ 4,500円 N.Mascalese NoceraN.CNdA エチケットは畑から見る景色
60%Nerello Mascalese, 15%Nocera, 15%Nerello Cappuccio, 10%Nero d'Avola 手収穫後、100%除梗するが、果実は潰さずに36時間置いておき、自然酵母が十分に繁殖した時点で足で葡萄を踏んで発酵開始。20日間のマセラシオン及び発酵後、古バリックに移して24ヶ月間熟成させたリゼルヴァのような位置づけ。

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A5837 Case Bianche / Enza La Fauci カゼ・ビアンケ / エンツァ・ラ・ファウチ 2019 750㎖ 3,800円 Zibibbo ミュスカの辛口
ファーロの海岸で伝統的に栽培されていたジビッボ・ファーロ種。実際に海岸沿いに植えられて、根の一部は海水に浸かっていたが海岸の開発が進み、引き抜かれることが決まった。その古い樹を自分の畑に植え替えたもの。6度で18時間マセラシオンした後、自然酵母のみで発酵。3ヶ月古バリックでシュール・リー。

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