Thierry Alexandre ティエリー・アレクサンドル
フランス France / Cotes du Rhone
ジャン・ルイ・シャーヴの栽培を経て独立「サン・ジョセフ」
拡張前のオリジナルの「サン・ジョセフ」お優れたテロワールを活かしたワイン造り・サン・ジョセフの新たな可能性を十分に感じさせてくれる。2005年から始まった若手。
ジャン・ルイ・シャーヴ元栽培担当
2005年創業、年産僅か5,000本。フランス国内のサロンにも出ていないにも関らず、フランス国内で大人気となっている「ティエリー・アレクサンドル」。
『2005年までジャン・ルイ・シャーヴ、ジャン・ミッシェル・ステファン、エルヴェ・スーオ、シャプティエの栽培を担当していた、有機的栽培の専門家でワイン造りより、葡萄栽培が大切』
2000年に有機栽培で畑の管理を請け負う会社を設立。直ぐにジャン・ルイ・シャーヴやジャン・ミッシェル・ステファン、エルヴェ・スーオの畑を担当。
その後も顧客は増え続け、シャプティエの畑も担当『畑仕事がしたくて始めたのに、いつの間にかマネージメントが仕事になってしまった。オフィスワークではなく畑で仕事がしたかった』
2005年、順調だった会社を止め、1.5haの葡萄畑と1haのアプリコット畑を買ってワイン造りを始めてしまう。
『ワイン醸造はエルヴェ・スーオから学び、少しずつ調整している。シンプルに何も足さないので難しい事はない』
家に隣接するガレージを改装した醸造所。剥き出しの地面にステンレスタンク4台とカーボンファイバーの発酵槽1台。数個のバリックがあるだけ。
ポンプやフィルター、手動のボトリングマシーン等、必要最低限の機材のみの最小限の醸造所。だが、清潔で整理された空間。
拡張前のサン・ジョセフ
醸造所はサン・ジョセフの中心地トゥルノンの北、「サン・ジャン・ド・ミュゾル」に位置する。
『サン・ジャン・ド・ミュゾルは拡張前のオリジナルのサン・ジョセフであり、土壌と丘陵、気候条件がコート・ロティとほぼ同じと言われる』
サン・ジョセフはローヌ川の左岸に南北40km以上に渡って広がり、1220haにもなる巨大アペラシオンで45の村が含まれている。
『1969年の拡張前は僅か6つの村のみがサン・ジョセフを名乗れた。エルミタージュの丘のローヌ川を挟んで反対側が本来のサン・ジョセフ』
サン・ジョセフ周辺には協同組合と大手生産者が多かったのでAOCに産地拡大のプレッシャーが多く、1969年に6つの村から45の村まで拡張されてしまった。
『元々97haだったサン・ジョセフは1220haに拡張された。10倍に広がって元々の個性、特徴を維持できるはずがない』
凡庸で低価格のワインが多いのも事実だが、「サン・ジャン・ド・ミュゾル」「トゥルノン」「モーヴ」の花崗岩は本当のサン・ジョセフの偉大さを持っている。
『対岸のエルミタージュは南西向きで暑いが、サン・ジョセフは南東向きで少し気温が下がるし、日照時間も短くなる』
全房発酵
畑は「サン・ジャン・ド・ミュゾル」に1haを所有。ローヌ川に近い平野部分にも1haを所有。対岸のクローズ・エルミタージュにも少し持っている。
『平野部の葡萄はヴァン・ド・フランスでペットナットを造っている。サン・ジョセフの葡萄樹は1960年頃に植樹された約60年樹齢』
収穫は全て手作業で行われ、畑で選果しながら醸造所内でも再び選果。その後、赤も白も冷蔵庫で冷やし24時間以上落ち着かせる。
『発酵前に低温で浸漬されることによって果皮から揮発的香やアントシアニンが抽出される。フレッシュな果実を手に入れる』
軽く潰しながら発酵槽に投入し、野性酵母のみで発酵を開始。基本的に全房を使用する。
『全房で野性酵母のみで発酵させるのが自分のワイン造り。マセラシオンは15~20日程度で発酵初期は1日に10分ルモンタージュを行う』
発酵終了後に圧搾、古バリックに詰めて12ヶ月間熟成。コラージュ、フィルターは行わない。サン・ジョセフ・ルージュでも年産600本という生産量。
綺麗に熟した果実。スムーズで勢いのある果実味こそがティエリーの特徴でサン・ジョセフらしい躍動感に溢れたワインに仕上がっている。
『キュ・セックは野性酵母のみで発酵させ、約5ヵ月後の発行中に瓶詰めして自然の発泡を残したペットナット』