Sergio Arcuri セルジオ・アルクリ
イタリア Italia / Calabria
チロの伝統を今に伝えるチロ最古の造り手
チロ以外では成功しない『ガリオッポ』の伝統を今に伝える代表的造り手。質の高い細かいタンニンをセメントタンクで ゆっくり熟成させることで優雅なワインに仕上げている。
チロ最古の栽培者
カラブリアを代表する産地で、圧倒的な個性を持ちながら「チロ」はイタリア国内でも世界的にも成功していない。現代化にも成功できていない。チロで葡萄栽培家として最も古い歴史を持つカンティーナが「セルジオ・アルクリ」。彼等も祖父ジョセ フの時代に畑、カンティーナの全てを売り払わなくてはならない危機に直面したがジョセフの農業への 情熱に救われた。
『1948年と1980年、そして2005年にも畑を買い 足し、現在は3.75haを所有。平均樹齢は60年。チロの伝統的畑を維持している』
当初は葡萄栽培だけだったが、1973年に現当主の父ペッペが現在の位置にカンティーナを建てバルクワインの販売を開始。 2009年には現当主セルジオ、フランチェスコ兄弟がボトリングを開始した。
『栽培、醸造は祖父のやり方と何も変えていない。トラクターも使わない。昔ながらの鍬等の農具を使った手作業。発酵容器も昔のまま』
生産効率の良いグイヨに変更することもなく、収量の安定するクローンに植え替えることもせず、貴重な昔のままのガリオッポを残している。
『昔の色々なクローンが共存している。樹齢も高いし、アルベレッロ仕立なので収量は半分で、栽培は2倍以上の時間を必要とする』
最も古い区画の樹は収量制限をしなくても1つの樹 から3房しか収穫できない。
果皮が弱いガリオッポ
畑は2か所に分かれている。「チロ・マリーナから内 陸に向かった丘の上、赤い粘土質の土地。粘土なので水分を含んでいる。
『昔、丘上部は玉葱畑だった。葡萄より高く売れたから。その頃から一度も薬品が使われていない畑で痩せている』
彼等は硫黄と銅以外は何も使用しない。肥料も使わないので周辺の造り手の葉が濃い緑なのに対して薄い緑色。栄養が少ない土壌でストレスを受けながら、根は地中深の栄養を探す。もう1つの畑は海岸から1kmの平地。黒い粘土に砂が混じっている。毎日海風を受ける畑でほとんど雨が 降らない。
『塩の影響を受けるし、痩せているので葡萄葉は小さく少ない。海風が湿気を取り除くので病気がほとんど無い。悪い年がない』
この畑は毎年、夏から秋にかけて全く雨が降らないので葡萄は完全に熟す。雨で水分量が増えてしまう心配は一切ない。
『ガリオッポは果皮が弱いので収穫前に雨が降ると割れてしまう。だからガリオッポは雨が少ないチロで最高の結果を残す』
果皮が弱いガリオッポは他の地域ではリスクが高 過ぎて栽培できない。彼等は内陸部と海沿いの2つの畑の違った個性の葡萄を合わせることで独特の複雑味を出している。
タンニンの質が最高
醸造所は街の中心部、旧市街の路地裏にある。収穫した葡萄は祖父の時代から使っている開放発酵槽に除梗して入れられる。 翌日には野生酵母のみで発酵。収穫時期は9 月後半で、まだ暖かい季節なので発酵は毎年すぐに始まる。マセラシオンは4日間。
『ガリオッポのタンニンはネッビオーロと違い、すぐに 抽出される。マセラシオンは4日で十分。タンニンが 先に出るのでワインを守ってくれる』
その後、セメントタンクに移してゆっくり発酵を継続。このタンクも昔から使っているもので内側をガラスコー ティングしていない。
『今では生産禁止になってしまったコーティングなしのタンク。酸素のコンタクトが多くガリオッポのタンニンを柔らかく成長させてくれる』
昔は畑に開放桶を置いて、畑で発酵させていたのだそう。それほど葡萄と環境がワイン造りに向いていて余計な技術が必要なかった。今でも必要最低限の設備だけしか無い。
『エチケットは濡れたボトルの底がテーブルに残した跡。そこから葡萄のツルが手を伸ばして自由に伸びようとしているのをイメージした』
彼等の畑ではツルをワイヤーに固定していない。葡萄の手足であるツルを切ったり、固定してはいけないという考え方。

