Cantalupo アンティキ・ヴィニェーティ・ディ・カンタルーポ
イタリア Italia / Piemonte
粘土石灰土壌ではないモレーン土壌のネッビオーロ
海底が隆起したランゲの土壌は海底に由来する。ガッティナーラは火山岩なので山に由来する。ゲンメのモレーンは
氷河が削り取った谷、川に由来する酸性土壌。ゲンメならではの個性を最も忠実に表現する。
海に由来しない土壌
1997 年に DOCG に昇格したゲンメ。 北ピエモンテ
において圧倒的個性を持つ 「 ガッティナーラ 」 とセー
ジア川を挟んで向かい合っている。
『 ゲンメの土壌はモレーン。氷河が谷を削り取って
堆積した土壌でガッティナーラの火山岩ともランゲ
の粘土石灰質とも違う 』
ネッビオーロは気候 、 土壌の 個性を ワインの味わい
に反映させることができる数少ない高貴品種 。ラン
ゲ、ガッティナーラ、ゲンメは全く違う個性 。
温暖でアルカリ性の粘土石灰
で元々海底だった 「 ラ
ンゲ 」 のネッビオーロは力強く重厚で大きなワイン に
仕上がる 。
冷涼で マグマに由来する 火山岩土壌の 「 ガッティナ
ーラ 」 は 少ない 果実感。 ミネラルが豊富で酸度も高く 、
熟成ポテンシャルが 非常に 高い。
『 モレーンは花崗岩が主で削り取られた岩石、岩屑
や土砂などが堆積した土壌。酸性 寄りで 、酸は柔ら
かく果実味もあり タンニンの質が細かい 』
海に由来する土壌の「ランゲ」。火山に由来する土
壌の「ガッティナーラ」。そして氷河の堆積物に由来
する土壌の「ゲンメ」。
『ランゲは海底が隆起した土地だがゲンメはアフリ
カプレートとアルプス山脈がぶつかった場所なので
山に由来する。全く違う土地』
土壌の個性を素直に表現できる造り手は 残念なが
ら 少ない。 12 生産者しか存在しないゲンメで最も土
地の表現に拘るのが「カンタルーポ」。
『 ネッビオー ロは気難しい品種なので、 昔の人は そ
れぞれの土壌と気候の組み合わせで最も優れてい
る地域 にネッビオーロを植樹した 』
モレーン土壌の個性を最も強く表現できる土地こそ
が「ゲンメ」であり、その「ゲンメ」の最も優れた区画を
所有するのが「カンタルーポ」なのだ。
1969年からの歴史
ゲンメを代表する老舗 カンタルーポ。 その起源は 16
世紀に遡る。その頃から葡萄栽培を続けていてゲン
メ最古の造り手の 1 人。
『 1969 年にゲンメが DOC に認定されたのを受けて
畑の植え替えを進め、本格的にワイン醸造を開始。
1977 年に現在の場所で造り手として創業 』
ゲンメで最も古い葡萄栽培家なので「 コッリ・ブレクレ
メ 」等のゲンメで最も重要で歴史的な畑を数多く所
有しているのが彼等の強み。
現在の当主は「アルベルト・アルルンノ」。醸造学が
専門 博士 でカンタルーポ の品質を一気に向上させ
た功労者 。
『ノヴァーラはイタリアで最も古いワイン造りの歴史
を持っている。その中心がゲンメでありガッティナー
ラ。僕達はゲンメの伝道者でいたい』
ゲンメの造り手の中で最も挑戦的で最も古典的な造
り手。 500 年前からあるセラーにはスラヴォニア産の
大樽が 20 個並んでいる。
『 若いネッビオーロのフレッシュな個性も大事だが、
大樽での長い熟成によって醸成される熟成したネ
ッビオーロの旨味を大切にしたい 』
法規制は最低 34 ヶ月の熟成。内 18 ヶ月の樽熟成
となっているが「 コッリ・ブレクレメ 」では 36 ヶ月の樽
熟成後、 12 ヶ月以上瓶熟成となっている。
『ネッビオーロは酸素と触れ合う事でしか本当の旨
味を表現できない。大樽と瓶熟でゆっくり酸化して
いくことがゲンメの伝統』
長い熟成でしか味わえない個性
畑はゲンメの町を見下ろす丘の上部が主。 典型的
なモレーン土壌で南西向き。セシア川の向こう岸に
はガッティナーラが見える。
『全ての畑は有機栽培。下草は伸びすぎれば足で
踏んで土に戻す。花崗岩が主体で栄養分が少ない
ので 3 年に 1 回肥料を与える』
仕立はグイヨだが
2m 程度の高い仕立 になっている。
新梢は切らずに伸ばしっ放しで一番上のワイヤーに
巻きつけておくだけ。
『新梢を切る事は人間に例えれば指を切って出血す
るようなもの。強制すべきではない。葡萄樹が伸び
たいように 伸びるべき 』
春先に新梢を切ることで植物的成長を止め、果実
に栄養を集中させる現代的栽培ではなく、葡萄樹
自体の健康を優先することが大切だとしている。
『過度に凝縮させる必要はない。人間がコントロー
ルした果実ではなく、葡萄樹が環境に適応して ベス
トの果実を成熟させる 』
ネッビオーロのフレッシュな美味しさの コッリーネ・ノヴ
ァレージ と大樽でのゆるやかな酸化で 2 次的旨味が
味わえるゲンメ。
ゲンメの土地を知り尽くした彼等がスパンナを通して
ゲンメの個性を最大化したような彼等のゲンメ。無く
なって欲しくないイタリアらしさが味わえ る 。