Antoine Sanzay アントワンヌ・サンゼイ
フランス France / Loire
クロ・ルジャール、ドメーヌ・デ・ロッシュ・ヌーヴに学んだ
クロ・ルジャールとドメーヌ・デ・ロッシュ・ヌーヴの隣人で幼い頃からの仲間であったアントワンヌが2002年よりワイン造りを開始。ポワイユも所有する大型新人は既に大人気。
クロ・ルジャールの隣人
ソーミュールと隣り合わせの小さな AOCソーミュー ル・シャンピニー。元々はシャンピニー村を中心として9つの村からなるAOCだった。
『今でも地理的中心はシャンピニー村だが、質的中心 はシャセ村とヴァラン村。クロ・ルジャール、ドメーヌ・デ・ロッシュ・ヌーヴが位置する』
そのヴァラン村で1880年代から続く葡萄栽培農家サンゼイ家が2002年からワイン造りを開始。
『最初の3年間は半分を葡萄の段階で販売し、そのお金で醸造設備を買い足しながら、少しずつワイン造りを進めていった』
2011年には醸造設備も整い、協同組合への葡萄の販売を完全に終了し、100%ワイン醸造へと切り替わった。 今ではベタンヌも大絶賛するなど、僅か10年で一気にトップ生産者の仲間入りを果たしてしまい、大きな話題となっている。こうして始まったドメーヌ「アントワンヌ・サンゼイ」は幸運な事に隣がクロ・ルジャール、反対の隣はドメーヌ・デ・ロッシュ・ヌーヴだった。
『幼少の頃から家族付き合いをしてきた隣人フコー兄弟(クロ・ルジャール)とティエリー・ジェルマン(ドメ ーヌ・デ・ロッシュ・ヌーヴ)が畑作りからワイン造りまで手伝い、教えてくれた』
偉大な2人の醸造家の手助けでワイン造りを開始したアントワンヌ。クロ・ルジャールと同じく30hl/haという超低収量。クロ・ルジャールにも負けない凝縮度を誇りながら、ドメーヌ・デ・ロッシュ・ヌーヴにも通じるミネラルとしなやかさも持ち合わせている。
『所有畑は28ha。父親は古樹を好んでいたので古樹が多く残っている。また、減農薬で栽培されていたので状態も良かった』
樹齢50年以上のポワイユ
彼等の畑はヴァラン村、シャセ村に分かれていて、 3haのシュナン・ブランの畑。そして、1965 年に植樹された特別な畑「ポワイユ」も4ha所有している。しかもこのポワイユはクロ・ルジャールのポワイユに隣接していて土壌、日照条件も最高。特に優れたミクロクリマを有すると言われている。
『ポワイユは真南を向く区画。ソーミュール・シャンピニーで最も気温が高くなる。表土は赤く、鉄分を少し含む粘土と砂の混合土壌。年間を通して風が吹くのでカビも少ない特殊な畑。樹齢50年以上』
この2つの村は周辺より少し小高い丘になっていて黄色い変成岩と砂質が混じる。非常に暑くなり、乾燥する地域だが、ポワイユの地下には水脈が通り、酷い乾燥の時でも、水脈まで根が伸びている古樹は生き残ることができる。
『ソーミュール・シャンピニーはトゥフォーと呼ばれる石灰岩盤が強く、シノンやソーミュールのように川に由来する小石等の影響を受けない』
また、雹害が多いソーミュールに対してソーミュール・シャンピニーには雹害はほとんど無い。古代の農家は雹の通り道を知っていて、雹害の無い 地域の葡萄畑は高い価格で取引きされていた。それがソーミュール・シャンピニーだった。
『崩れやすいトゥフォーの石灰岩盤は多孔質で土壌にミネラルを与えるだけでなく、水はけを良くする効果もある。カベルネ・フランにとって理想的』
濃いけれど滑らか
1999年に相続した時点では11haだったが、その全てをビオディナミに変更。更に徐々に周辺の状態の良い畑を買い足していく。
『ベース・キュヴェの平均樹齢は35年。ポワイユは樹齢50年以上で最高の状態になりつつある。しなやかさは古樹でないと出てこない』
ソーミュール・シャンピニーの収量も45hl/haとかなり低め。シャセ、ヴァラン、シル・エン・ブールの各村の葡萄を使用。粘土石灰、砂質と色々な条件の畑のアッサンブラージュで若いうちから楽しめるようセメントタンクのみで熟成させている。
■Saumur-Champigny “Les Terres Rouges”
2005年に植樹した新しい畑で0.6haのみ。石灰岩盤が強く表土が極端に薄いので、この区画のみでワインを造ることにした。
『50%は全房で発酵。野生酵母のみでコンクリートタンク。マセラシオンは30日間。その後、100%コンクリートタンクで12ヶ月熟成』
■Saumur-Champigny “Les Poyeux”
1965年に植樹された特別な畑「ポワイユ」。クロ・ルジャールのポワイユに隣接している。50%は全房で発酵。野生酵母のみでコンクリートタンク。マセラシオンは30日間。
『熟成はトロンコニック大樽とフードルを使用するが、20%だけバリックに入れて15ヶ月間熟成させることで馴染ませている』
クロ・ルジャール同様の深み、圧倒的凝縮度はあるが、野性味溢れるスタイルではなく、より洗練された味わいがアントワンヌのスタイル。
