Louis Chenu ルイ・シェニュ
フランス France / Bourgogne
色調は薄くてもいい、フィネスのサヴィニー
サヴィニー・レ・ボーヌで最も軽やかで繊細な造り。樹齢の高まりと自然栽培によって以前よりも深みが出てきて、ア フターも非常に長い。新世代サヴィニー。
5代目姉妹
お馴染みの可愛らしいエチケットは「キャロリーヌ」「ジュリエッタ」姉妹がドメーヌを引き継ぎ作ったもので彼女達の友人がデザインした。
『当時は女性がドメーヌを仕切るなんて考えられなかったから多くの人達に反対された。エチケットも反 対された。ワインらしくない、と』
2000年に妹のキャロリーヌがドメーヌに戻り、父親の手伝いをするようになり、遂にボトリングを決意する。 それ以前は全て葡萄の段階で売っていた。 「ルイ・シェニュ」の始まりは1914 年、初代「ルイ・シ ェニュ」がサヴィニー・レ・ボーヌの畑を購入したのが 始まり。その後、徐々に畑を買い足し、現在 10ha を所有している。
『典型的な葡萄栽培農家で父の葡萄は質が高く有名だった。父は葡萄栽培が好きだったが、妹はより 個性を出せるワインを造りたかった』
「キャロリーヌ」は醸造学校で勉強をした後、色々な造り手の下で働き、自分なりのワイン造りの理想を学んでいく。現在、ドメーヌは姉の「ジュリエッタ」が経営と経理を担当し、「キャロリーヌ」が栽培と醸造を担当。90 歳 を超える父親「ルイ・シェニュ」も現役で毎日畑に出 ている。彼女達で 5 代目。
『同じサヴィニーのシモン・ビーズの千砂さんには刺 激を受けている。良き友人であり、お互いに高め合 うライバルでもある』
畑の改良から始まった
彼女達は2006年から本格的に畑の改造に取り掛かる。偉大なワインではなく、土地の個性を表現する ワインを造る為の決断だった。
『リュット・レゾネから進化し、一部の畑ではビオディナミも採用。より良い状態を目指しているが、急激な変化は畑を苦しめてしまう』
除草剤、防虫剤は一切使用しない。化学薬品も完 全不使用で硫黄、銅の使用も減らしている。
目指すのは完全な循環型有機栽培だが、時間をか けてゆっくりと畑を改善していて、その年、今の段階 のベストを目指している。
『有機栽培への変更で収量は2/3程度まで減ったが、果実の熟度、酸の質、糖度は以前より高まり、 熟しても高い酸度が得られている』
畑の状態も改善し、樹齢も高まっている。理想に近 い状態。彼女達も 10 年以上の経験をして醸造も安 定してきて凄みが出てきた。
『サヴィニーの畑は樹齢 50~80 年。ブルゴーニュで も樹齢 40 年以上なので自然と凝縮度が上がるし、 表現力も増している』
サヴィニーらしさを追求
醸造は抽出を抑えたサヴィニーの繊細さを意識したスタイルで、以前の還元的なワインではなく、少しオープンな味わいに変化している。
『できる限り果実を優しく扱い、抽出はで き る 限 り 抑えている。これでサヴィニーの土地の個性が現れ る。誰にも好まれるワインでなくていい』
収穫後、100%除梗して足で葡萄を潰し、10 度以 下に冷やして2 日間コールドマセラシオン。
『発酵前に低温でマセラシオンすることで高温での発酵を避ける事ができる。発酵温度が上がらないのでピュアな香と繊細さが残せる』
完全に葡萄を潰さず、発酵させながら足でゆっくり潰していくことで発酵期間は長くなり、より多くの要素を 得ることができると考えている。発酵温度が低く、長い発酵は彼女達の目指すピュアで繊細なサヴィニーの個性を忠実に表現できる。
『ピノ・ノワールの香は揮発的で高温の発酵で失われてしまう。果実そのものの香を残すこと、抽出を強くしないことで若い内から土地の味が出る』
発酵は野生酵母のみでステンレスタンク、ファイバー樹脂発酵槽を併用。発酵終了後にバリックに移して18 ヶ月以上熟成。
『熟成中も澱をできるだけ動かさない事で透明感のある伸びのあるワインに仕上がる。フィルターも一切使用しない』
苺やラズベリーの赤系果実の香が彼女達らしさだが、 時間と共にブラックカラント、リコリスのような香も出て きて複雑。飲み飽きさせないワイン。
■Savigny Les Beaune サヴィニーの色々な位置にある 5 区画の葡萄を使用することでサヴィニーそのものを表現。樹齢は 30 ~60 年。ルイ・シェニュらしい軽やかでフレッシュな 美味しさ。
■Savigny Les Beaune 1er Cru “Aux Clous” セルパンティエールとオー・ゲットに挟まれた畑で平 均樹齢は70年。一部90年の樹も残っている。凝縮感、深みは古樹ならでは。完全な南向き斜面で最も 完熟度が高い。