Lamoresca ラモレスカ
イタリア Italia / Sicilia
レストラン経営からワイン醸造家に転身
食文化レベルの高いベルギーで大人気トラットリアを経営していたフィリッポ。自店で提供するワインをフランク・コーネ リッセンに委託して造り始めるが最終的には自分で造り始めてしまう。
シチリアワインは不味かった
世界 NO.1 レストラン「ノーマ」のグラスワインにシチリ アから始めて選ばれたのは「ラモレスカ」だった。彼の ワインはイタリア国内よりフランス、ベルギーから人気 となっていった。 シチリアの中心。乾燥が激しくアフリカ大陸と近い厳し い環境の「サン・ミケーレ・ディ・ガンツァリア」。葡萄畑 は稀でオリーヴ、サボテン、小麦の栽培が主。
『2000 年に葡萄畑と 46 本の 100 年以上の樹齢 のオリーヴの樹を購入。このオリーヴが古代品種モレ スカ種だったのでラモレスカと名付けた』
標高 430m カタニア県とエンナ県の境界に位置する サン・ミケーレ・ディ・ガンザリアのコントラーダ「ジリオ ット」に位置。
『石灰分の強い白い土壌で樹齢が高い。仕立はア ルベレッロ。シチリア特有の乾いた風がいつも通る 一部の品種にとっては理想の土地』
この地域は暑く、非常に乾燥しているので栽培できる 品種が限られている。
『乾燥に耐えられる品種としてヴェルメンティーノ。ネ ロ・ダーヴォラ、グルナッシュ、フラッパート。はを残せ る葡萄なので選んだ』
「フィリッポ・リッツォ」はベルギーでイタリア料理店を 13 年間経営していた。ワインが人気の店だったがシ チリアワインは扱っていなかった。
『当時、シチリアに高品質なワインは無かった。ベル ギーでインポーターをしていたフランク・コーネリッセ ンと出会いシチリアに興味を持った』
フランク・コーネリッセンに委託
2005 年、シラクーサ、パッキーノの葡萄畑を購入し た。この畑の葡萄の醸造をエトナに移住していた「フ ランク」が行うことになった。 2005 年は「フランク」のカンティーナで醸造・ボトリン グが行われた。しかし 2006 年、「フランク」は自分の 畑を買い足し、自分のワイン造りに没頭していくことに なって手が回らなくなる。
『石灰分が強い白い土の畑 0.85ha を購入し、フラ ンクに醸造を頼んだが、距離もあったし、フランクも 忙しかったので上手くいかなかった』
元々は自分のレストランで提供するワインを造るつも りだったが、ベルギーのレストランを売却。シチリアに 移住して自らワイン造りを始めてしまう。 畑は完全有機栽培。自然環境を守り残していくこと が重要だと考えている。 ウドンコ病が出た場合のみボルドー液を使用するが、 多くても年に 3 回程度。収穫の 3 ヶ月前からは絶対 に使用しない。
『土壌のバクテリアを活性化させることが重要。窒素 が豊富な土壌にはミミズが生息する。ミミズが地中 に酸素を供給してくれることで、自然と土壌は豊か になっていく』
彼等は有機肥料も使用しない。糞などの動物性の肥 料も使用せず、下草と葡萄の枝を土に返すこと、豆 類を植えて窒素を供給することだけで土壌を活性化 させている。
毎日飲める軽快なワインに
醸造所はシンプル。発酵槽はファイバー樹脂製の大 きなバケツのようなものを使う。
『発酵容器は何でも良い。素材は関係ない。温度管 理はしない。その年の酵母によって温度の上がり方 も異なるのだから』
酵母は野生酵母のみ。発酵が終わったら熟成用の 容器に移すが、大樽、古バリック、セメントタンク、ファ イバー樹脂タンクの併用。
『昔は長いマセラシオンをしていたが品種の香や味 わいの個性が隠れてしまうので白ワインで 2 日。赤 ワインでは 30 日まで短縮した』
最近の「フィリッポ」のワインは軽やかさが出ていて、 飲み疲れない味わいに変化している。
『以前は収穫が遅過ぎたし、マセラシオンは長過ぎ た。重いワインだったので毎日飲みたいものではな かった。今のワインは毎日飲みたい』