La Caudrina ラ・カウドリーナ
イタリア Italia / Piemonte
本物のモスカート・ダスティは「ピュア」
世界的にも稀な微発泡甘口ワイン「モスカート・ダスティ」の最も模範的な造り手と言われる「ラ・カウドリーナ」。桃の ような特徴的な香と葡萄果実由来の爽やかな甘み、酸味が飲み飽きさせない。
モスカートの第一人者
当主「ロマーノ・ドリオッティ」は高品質モスカート・ダス ティを造り始めた最初の造り手と言われる。 それ以前のモスカート・ダスティは大手企業やコーペ ラティブによるもので量産ワインであった。品質重視 のモスカート・ダスティは存在しなかった。
『本物のモスカート・ダスティはピュア。果実由来の甘 みと酸味がバランスし飲み飽きない。甘いだけのモ スカート・ダスティは単純でつまらない』
醸造所はバルバレスコの北東 2 つの丘を越えたカス ティリオーネ・ティネッラに位置。所有畑は 25ha で醸 造所周辺に 20ha。残りはニッツァ・モンフェラートで、 バルベーラが植えられている。
『土壌は石灰を多く含む泥灰粘土質でタナロ川に向 かう北西斜面が主体。よって葡萄の糖度が上がって も酸が落ちない。香もフレッシュさを失わない』
北、西、南斜面の色々な条件のモスカートをアッサン ブラージュすることで糖と酸のバランスをとることが大 切。他のワインのように発酵による味わいの変化は少 ないのでモストで品質が全て決まってしまう。
『樹齢は 30 年~50 年とモスカートとしては異例の 高さ。通常は収量を得るために 10 年で植え替えら れてしまうことがほとんど』
モスカート・ダスティのアルコールは 5%。葡萄果汁 の糖分と酸がそのままワインに残っている珍しいワイ ン。砂糖の甘みではない天然の葡萄の甘みと発酵 由来ではない天然の酸味が味わえる。
葡萄由来の甘みを残す
ワイン造りはシンプル。モストの時点でワインの品質は ほぼ決まってしまうので正しいタミングで収穫し、糖度 と酸度を確保する。 収穫は手作業で酸化を防ぎ、1 日低い温度で落ち 着かせてから圧搾。その後、珪藻土のフィルターで 固形物を取り除き、モストをアッサンブラージュして味 わいのバランスをとって発酵開始。
『低温で 1 日置くことで酸化せずに汚れや虫を除去 する。珪藻土のフィルターは重要。モストにバクテリ アがいると発酵中でもワインは劣化してしまう』
18℃の低温発酵。モスカート・ダスティはアルコール 5%、アスティ・スプマンテは 7.5%まで上がった段階 で冷却して発酵を止める。亜硫酸等は使わずに一気 に 5 度まで冷却して止める。
『アルコール発酵を冷却して強制的に止めてフィルタ ーにかけて酵母を除去して瓶詰め。砂糖も何も加え ない。発酵期間 2 週間だからフレッシュ』
モスカート・ダスティ造りには「正確性」が求められる。 天然の糖度と酸度のバランス。発酵のコントロール。 そして天然の糖分があっても再発酵したりしないよう にする完璧な技術が必要。
『アルコールが低く、天然の糖分があるのでフィルタ ーは必須だが、工業的薄膜フィルターは香や味わい の要素も除去してしまう。最低限が重要』
過度なフィルターは避け、酵母とバクテリア、澱のみ を除去する最低限のフィルターでフレッシュの白桃の ような香や活き活きした果実を残している。
太陽の恵みがモスカート
■モスカート・ダスティ・カウドリーナ モスカート・ダスティは 2 種類。合計 11ha の色々な 畑のモスカート・ビアンコをアッサンブラージュするの が「モスカアート・ダスティ・カウドリーナ」。平均樹齢は 38 年でフレッシュな典型的スタイル。
■モスカート・ダスティ・ラ・ガレイサ 1970 年に植樹された最も古い単一畑「ラ・ガレイザ」 は 3.5ha の急斜面の南西向き斜面。
『圧倒的凝縮度とモスカートとしては異例の骨格。果 実のリッチさに芯の通った勢いのある酸が味わいを 多層的に感じさせる』
■アスティ・スプマンテ 1975 年植樹の畑。モスカート・ダスティと同じように 収穫、発酵。アルコールは 7.5%まで上げるので糖 度は低く、食前にも楽しめる。
『アルコールは 7%でガス圧は 5.7 バールとモスカー ト・ダスティ(2.5 バール)より強め。ラベルデザインは 友人だった故ロマーノ・レヴィ』
■バルベーラ・フリッツァンテ・グエリエッラ 祖父の時代のバルベーラを復活させた微発泡バル ベーラ。アウトクラーヴェで6日間の短期マセラシオン で発酵。ガスを残した状態でボトリング。 どのキュヴェも醸造はシンプルで樽熟成などの 2 次 的要因で得る味わいはなく、太陽が育てた葡萄その ものの味が楽しめる。