1701 ディチャセッテウノ
イタリア Italia / Lombardia
葡萄100%「酵母」も「蔗糖」も足さない
2012年に始まった若い造り手「1701」。当主で醸造家の「フェデリコ」の理想は葡萄100%のフランチャコルタ。 培養酵母による醸造が当たり前のフランチャコルタで唯一の存在。
フランチャコルタ南部
2012 年、「フェデリコ」と「シルヴィア」兄弟が 300 年前に造られた歴史あるカンティーナを買い取り、始めたのが「1701」。
『コンティ・ベットーニ家のカンティーナを買い取った。 この造り手の初ヴィンテージ 1701 年に敬意を表してカンティーナ名にした』
2 人の母親は幼い頃から工業製品や添加物を嫌い、 出来る限り自然のものを食べさせて 2 人を育てた。 それが彼等の当たり前だった。
『添加物を嫌い、有機野菜や職人が作った加工肉やジビエを食べてフランチャコルタで育ったが、フラ ンチャコルタには満足できなかった』
イゼオ湖の湿気で有機栽培やビオディナミが難しい フランチャコルタだが、彼等は迷うことなく有機栽培 を選択する。更には「ニコラ・ジョリー」と出会い、ビオディナミにも 積極的に取り組み、2016 年にはフランチャコルタで 初めて「デメテル」の認証を取得。
『ビオディナミは子供の頃から当たり前。自然な食事をしながら、化学薬品を使ってワインを造るのは 異常。自分が飲めないワインは造らない』
畑は「カッサーゴ・サン・マルティーノ地区」に位置し、8haのシャルドネ畑と2haのピノ・ネロ畑を所有。その ほとんどは 1700 年代の城壁の中に位置。
『カッサーゴはフランチャコルタの南東部で丁度氷河が止まったあたりローム土壌と砂質が交じり合った 土壌でミネラルが豊か』
「エルブスコ」ほどの堆積土壌ではなく、表土は砂質。 よって水捌けが良く、湿気が少ないのでカビや病気 の害が少ない。
光合成が全ての始まり
『僕等はテロワールと近い存在になりつつある。でも 完全に理解できる相手ではない。農業やワイン造り は自然と人間の共存を意味する』
畑で使われるのは自分達で作った調剤と硫黄のみ。 銅はほとんど使用しない。他の造り手の畑よりも葉の 数が多く、ツルも長く伸びている。
『全ての始まりは葉。光合成によって糖(スクロース)が生成され、果実を作る。葡萄樹は必用な葉の数を知っている』
2012年当初、葡萄樹は薬剤で生かされている状態だった為、気候にも順応できず、害虫からも自分を守れず、葉数やツルの長さも調節できなかった。
『ビオディナミで葡萄樹はテロワールの一部になってきた。気候や水分量を認識して果実を最高の状態 にしようとするのは天性の能力』
勿論、100%自社畑の葡萄のみを使用。若い樹でその年の気候に対応できなかった葡萄など品質に満たないものは売ってしまう。
2次発酵はモストの糖分で
醸造も畑同様に薬剤や培養酵母など一切使用しない。ドサージュも行わない。自然なワイン造りは「フェ デリコ」にとっては当たり前のこと。
『フランチャコルタの問題は酵母。95%の造り手が 培養酵母を使っている。酵母が味を作るのに自然 酵母を使わないなんて考えられない』
大手生産者が何百万本ものフランチャコルタを野生 酵母だけで発酵させることは不可能。「1701」の生 産量は最大で 60,000 本。
『この規模だから野生酵母だけで発酵できる。酵母 が弱ければ隣から元気な酵母を移せば良い。発酵 期間はカンティーナに泊まって管理する』
砂糖も酸も足さない。葡萄果汁のみ 100%葡萄の フランチャコルタ。彼等にとっては当たり前だが 99% の造り手は糖や酵母を足している。
『2次発酵も自分達の畑の酵母とモストの糖分で行う。誰かが作った蔗糖や酵母で味を決定づける 2 次発酵はしたくない』
収穫直後に搾ったモストの一部を写真のようにフィ ルターをかけ、0 度前後の菌の繁殖の無い状態で 保管している。 このモストと葡萄から採取した酵母を 1 次発酵が終 わったワインに足すことで 2 次発酵を促す。
『非常に手間がかかる作業であるのとモストと酵母 の状態が一定でないので難しい。でも葡萄 100% のフランチャコルタが僕等の理想』
恐らく、フランチャコルタを名乗れるワインでは唯一 の醸造方法で、今後も出てこないと思われる。 葡萄 100%!「フェデリコ」が完成させたのは酵母も 蔗糖も足さない真のフランチャコルタだったのです。