Bois de Boursan ボワ・ド・ブルサン
フランス France / Cotes du Rhone
唯一残った伝統的シャトーヌフ・デュ・パプ
1980年代から全く変わらない今では珍しい伝統的醸造。有機栽培、全房発酵、野生酵母、フードル熟成で古樹ならではの複雑味を楽しめる。アタックより繊細さを味わって欲しい。
唯一残った伝統的シャトーヌフ
フランスで最も急速に現代化が進んだ産地とも言わ れるシャトーヌフ・デュ・パプ。R.パーカーが現代的 スタイルのシャトーヌフを評価したことで一気に現代化が進み、今や伝統的な造り手は皆無。
『シャトーヌフは30年で全く違う産地に変わってしまった。全て除梗し、凝縮感を高めた濃厚で重い、そして甘い樽の香りに支配されている』
ボワ・ド・ブルサン当主ジャン・ポール・ベルシノは現代化されたシャトーヌフに取り残されたように伝統的シャトーヌフを今に残している。
『伝統的シャトーヌフは私含めシャルヴァン等数軒しか残っていないが、父親から引き継いだ伝統を変える必要はないと思っている』
除梗し、品種別に発酵させて完璧な熟度を追及し、バリックで熟成させた現代的シャトーヌフは甘く、フルーティーだがアタックが主で余韻は寂しい。
『フランス初のAOCに認定された歴史あるシャトーヌッフは伝統的に全房で数品種を一緒に発酵させたものだった。バリック熟成はあり得ない』
ボワ・ド・ブルサンはイタリア、ピエモンテから移住した祖父ジャン・ベルシノによって1955年に設立され、シャトーヌフ・デュ・パプ村に位置している。3haの葡萄栽培農家として始まり、1987年にジャン・ポールが相続するまで生産量の半分はネゴスに販売していた。
27区画のアッサンブラージュ
ジャン・ポールの相続後、ネゴスへの販売を減らし、畑を有機栽培へ変更。1999年には認証も取得した。しかし、ワイン造りは一切変えていない。
『有機栽培だけでなく、できる限り森林を隣接させ生物多様性を維持している。葡萄樹が生命力を高めるには非常に重要だと考える』
現在では全ての畑が有機認証を得ている。所有畑は18haで、シャトーヌフ・デュ・パプ全域に27区画を所有。
『27区画の畑はローヌ川に近いチョークを含む土壌、北部の砂岩、南部の石に覆われた赤土と色々。16種類の土壌の畑を所有している』
色々な土壌の畑を持つことで色々な個性の葡萄が収穫でき、アッサンブラージュの可能性が広がる。それがワインの複雑味に寄与する。更に、暑い年に強い土壌もあれば、寒い年に強い土壌もあるので、どんな天候の年でもある程度比率を変えることで対応できる。
『最も古い樹は100年以上の古樹のグルナッシュ。ほとんどは1960~1970年代に植樹されていて樹齢40年から80年の古樹』
彼等のワインには作為的な味わいのコントロールは全く感じない。その代わりに、古樹ならではの滋味深い染み出すような味わいがある。
全房発酵とフードル熟成
醸造はシャトーヌフ・デュ・パプで最も伝統的であることは間違いない。混植の畑は一気に収穫され、複数品種が一緒に発酵される。
『1980年代から全房で発酵させている。年によって変えるが基本的には100%全房。これによってフレッシュ感、ストラクチャーが出る』
発酵は野生酵母のみ。セメントタンクで行い、熟成はフードルやスラヴォニアン・オーク大樽、アルザスのビールの熟成に使っていた大樽と色々。
『バリックは一切使用しない。使う必要がないから。古樹の葡萄は既に複雑味を持っていて繊細な味わい。それを隠す必要はない』
流行の濃厚なシャトーヌフとは全く違う、ブルゴー ニュやバローロのような伸びのあるワイン。タンニンは細かく繊細で、樽からくるタンニンではない。
『何も足さない。フィルターもかけないがボトリング 前にSO2のみ極少量添加する。PHが高いこの地域では必ず必要な作業』
■Chateauneuf du Pape Rouge
70%グルナッシュ、30%ムールヴェードル、シラー等。樹齢40~80年の色々な畑のアッサンブラージュ。色々な土壌のアッサンブラージュだからこそのバランス。全房のフレッシュ感。
■Chateauneuf du Pape “Felix”
1995年が初ヴィンテージ。65%古樹のグルナッシュ、30%ムールヴェードル、その他シラー等。年産5,000 本のみ。詰まった果実と凝縮度。
■Chateauneuf du Pape Blanc
1haのみ。35%グルナッシュ・ブラン、35%クレレット、ルーサンヌとブールブラン各15%。醸造はエナメルタンクで行っている。年産2,000 本。
