Lilbert リルベール
フランス France / Champagne
「コート・デ・ブラン」特級畑のスペシャリスト
「クラマン」「シュイィ」「オワリィ」のシャルドネ特級畑のみを所有。収穫、ルミアージュ、デゴルジュマン等全ての行程を 手作業で行っている。年間生産量28,000 本のみの小規模生産者。
グラン・クリュのみ
「リルベール」は1746年からコート・デ・ブランで葡萄栽培を行ってきた老舗。現当主は5代目の「ベルトラン・リルベール」。
『所有する畑はグラン・クリュのみ。本拠地クラマンを中心にシュイィ、オワリーの3つの村に畑を所有』
高騰するコート・デ・ブランのグラン・クリュ畑。RM生産者でグラン・クリュのみの葡萄でワイン造りを行えるのは非常に珍しい。
『区画毎に細かく分けて収穫し、発酵・熟成も区画毎に分けている。異なる個性のワインをアッサンブラージュすることで複雑さを出す』
シャルドネのみ。品種のアッサンブラージュはできない。畑毎の個性を活かした醸造を行うことで個性の異なるワインを造ることが重要。
『クラマンは全ての畑が南斜面なので日照量が多い。果実味が強く、凝縮する。骨格が大きく、華やかさも持っている』
「シュイィ」の中でも冷涼な区画。完熟のニュアンスより白桃やレモンのような個性。骨格より繊細さ。100haしかないコート・デ・ブラン最小のグラン・クリュ「オワリー」は個性に欠けると言われるが重要。アッサンブラージュでバランスを与えてくれる。
『クラマンはミネラルと果実の柔らかさがバランスするのが個性。シャルドネの力強さと繊細さの両面が感じられるシャンパーニュ』
アッサンブラージュに加えて、彼等が重要視しているのがリザーヴ・ワイン。
『50%以上リザーヴ・ワインを使用する。多い年は60%以上にもなる。通常は前年と前々年の2ヴィンテージを加えている』
シャルドネはその年の気候に大きく影響される。特にグラン・クリュはその年の個性を反映しやすい。リザー ヴ・ワインでバランスを整える。
生産量は2300ケース
「ベルトラン」は10年間、エペルネの組合でエノロゴを雇えない小規模生産者の栽培、醸造を手助けするコンサルタントとして働いてきた経験を持つ。
『色々な問題への対応。アッサンブラージュや発酵温度などを普通の造り手の10 倍経験した』
各造り手、各畑で起こる問題に対処することで経験を積んできた。病気への対応。畑毎の個性の表現方法。なにより「クラマン」の個性を学んだ。
年間 35,000本の生産が可能だが、実際の生産は28,000 本。家族 3 人で醸造をする為。
『毎朝4000本のルミアージュを行う。機械でも味は変わらない。でも、手作業が伝統。その時間は自分にとって幸せな時間』
家族だけのワイン造りは細かい対応も可能。デゴルジュマンの時期によってワインの硬さが異なるので、毎回ドサージュの量を変えている。
『べ―スの年が同じでも初回のデゴルジュマンはドザージュ量を多めに。瓶内熟成が進むにつれて量を減 らしている』
ワインの状態に合わせた微調整。彼等が手作業に拘 る理由の 1 つ。
クレマン・ド・クラマンの復活
「クレマン・ド・ブルゴーニュ」のクレマンは「クラマン」に由来するとも言われている。「クラマン」では伝統的に軽いガス圧のシャンパーニュが造られていて「クレマン・ド・クラマン」と呼ばれていた。「クラマン」にしかない伝統。
『ガス圧を低くすることでクリーミーさが出る。泡が刺激しないので食中酒としてのシャンパーニュ。ワイン自体の質が高いからできる』
通常のシャンパーニュは6気圧以上だが彼等の「ブラン・ド・ブラン・ブリュット・ぺルル・グラン・クリュ」は僅 か4気圧。
『1気圧の泡を得るには4gの糖分が必要。よって通常は24g加えるが、ブリュット・ペルルは16gしか加えないことで自然と弱い発泡になる』
80年代「クレマン・ド・クラマン」(クラマン村のクレマン)という名称で販売していた伝統的シャンパーニュだが「クレマン」の表記が禁止された。キュヴェ名の変更が必要になり、細かい泡の様子から真珠を意味する「キュヴェ・ペルル」としてリリースし ている。
『このクラマン伝統のシャンパーニュを残している造 り手はピエール・ペテルス、ギィ・ラルマンディエ、そしてリルベールの3軒のみ』