San Francesco サン・フランチェスコ
イタリア Italia / Campania
『アマルフィ』の海を感じさせる塩味
世界遺産にも登録されているアマルフィのワイン造りは他のどの産地にもない独特のもの。品種も地品種の混醸で 畑作りもこの地伝統の棚仕立。樹齢は300年を超す樹も残る。
独自の文化が残るアマルフィ
世界で最も美しい海岸と称され、ユネスコの世界遺 産にも認定されている「アマルフィ」。美しい景観だけ でなく、独特の文化が残されている。 9 世紀から繁栄したアマルフィ公国が独自の文化を 形成。3 方を海に囲まれ、ラッターリ山脈によって本 土と隔てられたソレント半島独特の地形によって外部 の文化が入り込むことがなかった。
『ワイン造りも独自の進化を遂げた。仕立は昔から の棚仕立が残り、アマルフィにしか無い野生種に近 い葡萄品種が数種残っている』
現在ではイスラムの影響を受けた中世独特の建造 物や史跡、自然とレモンや手漉し紙の特産品で人気 の観光地となっている。 18 世紀後半に起ったフィロキセラの蔓延はイタリア全 土に広がったが「アマルフィ」は逃れた。
『3 方を海に囲まれ、1 方をラッターリ山脈に面して いる為、フィロキセラが侵入することができなかった。 お陰で野生種が今も残っている』
「アマルフィ」には固有品種が 80 種も残っている。そ のほとんどの品種はソレント半島以外には存在しない アマルフィ独自品種。
トラモンティ=日が沈む
「サン・フランチェスコ」は地元の獣医だった「ボーヴ ェ・ガエターノ」によって 2004 年に設立された新しい カンティーナ。
『特に優れた土壌を持つトラモンティに位置。ソレン ト半島の中心部でティレニア海からすぐの断崖絶壁 の上部。標高は 550m を超す』
「ガエターノ」は荒廃した葡萄畑と醸造所を再生。昔 の仕立をそのまま活かし、少しずつ理想の畑に変え ていった。 畑はアマルフィの海岸沿いから山間部に入った標高 500m 付近。特産品のレモンでは寒過ぎて育たない 高所に位置する。
『最も古い畑は樹齢 300 年と推定されている。葡萄 樹の直径は 50cm を超し、枝の長さは 5m を超えて いる。今も 5~10 房の葡萄を着ける』
「トラモンティ」は「陽が沈む」という意味。その名の通 り、三方を海に囲まれた「トラモンティ」は日没が遅い ので非常に長い日照時間を確保できる。 高い酸度を持つ地葡萄が充分熟すことが可能。
海からくる塩味
畑では極力、化学肥料、薬剤の使用を抑えている。 急勾配の畑だけに機材は入ることができず、全ての 作業は手作業となる。
『土壌は石灰質と火山岩の混合土壌。石灰が腐敗 し、崩れ、石礫になり、火山性と土壌と合わさったも のでワインに骨格を与える』
そして「トラモンティ」最大の特徴は海を感じさせる塩 味。岩塩のような力強いミネラルを感じさせる。 アロマティックさやフルーティーさではなく、ミネラルと 酸に支えられた硬質な味わい。
『気候は山の影響を強く受ける。アロマティックな品 種ではなく、ミネラルを活かす品種を選んでいる。そ してアマルフィの海風が塩分を与える』
白ワインは「ビアンコレッラ」(自根)とピコリットと同種と 言われる「ペペッラ」(自根)に「ファランギーナ」がブ レンドされている。
『自根の葡萄は樹齢が高く、野生種の為、結実が悪 い。特にペペッラは大きな粒は少なく、小さい粒が ほとんど。房は隙間だらけ』
果汁に対して果皮の割合が異常に高い。必然的に 収量は少なくなり、果皮の色々な成分が果汁に複雑 味を与えてくれる。 赤ワインは「アリアニコ」、「ティントーレ」(自根)、更に 自根の「ピエディロッソ」が栽培されている。「ティント ーレ」は「トラモンティ」にしか存在しない葡萄。
『ティントーレは非常に結実が悪い。そして、成熟に 時間が必要。例年収穫は 10 月後半から 11 月と遅 いのでリスクが高い。高い酸度、豊富なタンニンで 長期熟成が可能』