Sartarelli サルタレッリ
イタリア Italia / Marche
『カステリ・ディ・イエジ』最優良生産者
32種類のヴェルディッキオ・クローンを混植することで昔の畑を再現。単一クローンの単調な味わいではないのに非 常に安い価格設定。トラリヴィオは樹齢50年を超す特別区画。
32種のクローンを混植
1960 年、葡萄栽培農家として設立された「サルタレ ッリ」。1972 年遂に葡萄での販売を止め、自分達で ボトリングまで行うようになった。 現在の当主は「パトリッツィア」「ドンナテッラ」夫妻。彼 等は元々パン職人だったが、1989 年、父親が亡くな ったのを機にカンティーナを引き継いだ。
『パン造りでもワイン造りでも美味しいものを知るこ とと感性が大切。あとは仕込みを丁寧にできるかど うか。ワインの仕込みは畑作業』
彼等は 100%自社葡萄のみ。自社葡萄という考え方 の薄いこの地域では珍しい造り手。 現在、主にこの地域で栽培されている多産性のクロ ーンを使用せずに昔のヴェルディッキオのクローンを 復活させて本来のヴェルディッキオの味わいを復活 させる活動をしている。
『この地域では病気に強く多産なクローン 3 種が 90%を占める。僕等は昔のヴェルディッキオを復活さ せる為 32 種類のクローンを混植している』
昔はクローンという考え方自体が存在しなかったので 自然と畑の中で様々なクローンが共存し、熟度、酸 度、凝縮度、どれもばらつきがあった。 色々なタイプのクローンの色々な個性が複雑さを与 えてくれる。
『単一のクローンでは複雑味は出ない。病気や栽培 の手間は少なくなるが、単純な味わいになる』
32 種類のクローンを畑に混在させることでワインはよ り複雑味を持つようになった。
最高の畑トラリヴィオ
50ha 以上の畑を所有し、内 30ha 以上がベースの 「ヴェルディッキオ・クラシコ」に充てられる。 家族経営のカンティーナとしては広大な畑だが、一 貫して品質至上主義を崩していない。「カステリ・デ ィ・イエジ」を有名にしたのは彼等だ。
■トラリヴィオ
『僕等の最も古い畑がトラリヴィオ。32 種全てのクロ ーンが混植されている東向きの畑。通常のワインの 2/3 まで収量を制限している』
暑い「カステリ・ディ・イエジ」では南向き斜面よりも東 向き斜面の方が有利な点もある。 成熟まで時間を要する東向き斜面の葡萄は果皮に より多くの要素を蓄える。更に酸度も確保する。 ワインは上品な酸を基調に果実味に溢れ、少しの苦 みが後口を引き締める。熟成も期待できる。
■バルチャーナ 「サルタレッリ」を一躍有名にしたのは「バルチャーナ」 と呼ばれる遅摘み辛口ヴェルディッキオ。「バルチャ ーナ」の畑は北斜面に位置する。
『葡萄の成熟は遅く、急激な糖度の上昇は避けられ る。よって貴腐菌が着くまで収穫を遅らせることが可 能になる。例年 11 月初旬から中旬に収穫』
金色の濃厚な色調。香はパイナップル、蜂蜜、紅茶、 シナモン、胡椒と複雑。口中はねっとりとした質感でド ライ。圧倒的な存在感。アルコールは 15 度まで上が ることもある。
収穫量の60%は地元で直売
畑では防虫剤、除草剤は使わず、ホルモンカプセル のみ。有機系肥料は必要に応じて使用する。収穫後 から春先までは下草を伸ばしっ放しにしている。
『樹齢は 25 年程度。ベースのクラシコは平均 20 年。 生産量の 60%は地元で量り売りしている。質の良く ない葡萄を量り売りすることで選別している』
これは選別された良い葡萄のファーストプレスだけを 商品にすることで品質を高める工夫。お陰でリーズナ ブルな価格も実現できている。 2008年のヴィニタリーでも最もコストパフォーマンスの 高い白ワインに「サルタレッリ」の「ヴェルディッキオ・ク ラシコ」が指名されていた。
『数多い土着白品種の中でヴェルディッキオが最も 高いポテンシャルを持っている品種の 1 つということ は間違いない』