Roagna ロアーニャ
イタリア Italia / Piemonte
100年以上変わらない『バルバレスコ』
樹齢50年以上の葡萄しか使わない。ヴェッキエ・ヴィーニュは樹齢80年以上。ロアーニャでしか味わえない芯のあるワイン。アタックではなく中間からアフターを楽しんで欲しい。
100年変わらない
ロアーニャの歴史は古く1880年まで遡る。1890年にバルバレスコが初めて造られたので、それ以前からロアーニャはワインを造っていた。1929年にモンテフィーコ、1953年にはパイエ、1961年にはアジリを取得していった。
『100年前から何も変えてない。今後も変わらない。ワイン造りの哲学というより、人生の選択だ』
現当主はアルフレッド・ロアーニャ。1971年が彼の最初のヴィンテージでエリオ・アルターレと同世代。あまり知られていないが、アルフレッドはエリオと共に栽培や醸造を研究していた。
『エリオ・アルターレとは反対に何も変えないことを選択した。ロアーニャは変わらない』
2001年からは息子ルカが参加。父親と共にワイン造りを行っている。2007年には各畑を樹齢毎に分けて醸造を開始したことで、畑毎に「ヴィティ・ヴェッキエ」と通常の畑名ワインに分類された。
『80年以上の古樹は強い表現力を持っている。古い樹の葡萄だけで醸造することで、より畑の個性を表したワインができあがる』
50年以上の樹齢が必要
畑では100年以上前から化学肥料は勿論、有機肥料も一度も使ったことがない。春先に刈り込まれる下草がその役割を果たしてくれる。
『生物多様性を維持することで植物や昆虫、動物、バクテリアが自然と均衡を保つようになる。人間が 環境を整えることはできない』
彼等の畑のネッビオーロは苗木屋から購入したものではない。その畑で育ち順応してきた樹をマッサルセレクションで残している。色々なクローンが混在していることが重要。それぞれの畑に残っているクローンには意味があると考えていて、その畑の樹以外の樹を植えない。
『マルゴッタ(プロヴィナージュ)でその畑の樹を増やしている。危険が伴う増やし方だが、後世に畑の個性を残す為に必要』
樹が死んだ場合、隣の樹の枝を地中に潜らせて先端を地表に出しておく。地中の枝から根が伸び、枝が樹に成長していくことで苗木を植樹せずに親樹の個性を残していく。ロアーニャの樹齢に対する考え方は他の造り手とは全く違う。樹齢20年以下は彼等にとって「赤ちゃん」。ランゲ・ロッソに使われる。樹齢40年以上の樹のみでバローロ、バルバレスコが造られる。そして80年以上の樹のみが「ヴィティ・ヴェッキエ」と呼ばれるキュヴェに使われる。
『一般的には樹齢30年を超えると収量が減るので植え替えられてしまう。僕等は30年以上でないと畑の個性を表現できないと思っている』
100日間長期マセラシオン
1989年にはカスティリオーネ・ファレットの「ラ・ピラ」を取得。三方が崖と森に囲まれた畑で砂質土壌。黒く重い砂層は海底が隆起した層で、香りを嗅ぐと磯の香りがする。白く軽い砂層は石灰を多く含んでいる層でアルプスに由来する層。
『この畑はフィロキセラの被害を受けていないので自根のネッビオーロが残っている。第2次世界大戦以前の樹も残っている』
凝固した砂由来の土壌は葡萄の成長に必要な窒素が極端に少ない。葡萄の成長は粘土質より遅く、収穫も遅れ、複雑味を得る。最後にロアーニャでは100日間という他の造り手では考えられない長いマセラシオンを施している。
『長期のマセラシオンで得たいのは濃さではない。旨味。30日を超えると旨味が果皮に戻っていき、その後戻ってくる』

