Giocoli ジョコリ
イタリア Italia / Toscana
白品種含む7品種混植混醸の昔懐かしいキャンティ
決して偉大なワインではないし、専門誌で評価されるものでもないが、もはや味わえない
30年前のキャンティを味わ
う事ができる 。 ワイン はその地域に受け継がれてきた伝統や習慣が味わいに感じられるものであるべき。
キャンティは世界基準に変化
イタリアの 代表的 テーブルワインだった キャンティ は
今や世界基準の 味わいに変化。凝縮感 が高く、重厚
なスタイルが今の主流になってしまった 。
『キャンティ・クラシコ協会は 2006 年から白葡萄の
使用を禁止。 80 %以上サンジョヴェーゼであること
を義務つけてしまった』
以前はサンジョヴェーゼが 75 %以上であれば、 6
まで白葡萄が使用でき、カナイオーロ等の地品種の
使用比率も高かった。
『世界の 市場を意識し 白葡萄を禁止した。これはキ
ャンティらしさを捨て 、世界的基準を目指す事を決定
づけてしまった のでは ないか? 』
木苺のような赤系果実と梅の風味だったキャ
ンティ・
クラシコは姿を消し、カシスのような黒系果実で強い
凝縮感で 重厚な味わいに変わってしまった。
『ワインはその地域に受け継がれてきた伝統や習慣
が味わいに感じられるものであるべき。世界中で同
じ味わいを目指す必要はない』
もはやクラシコでは素朴なキャンティには出会えない 。
クラシコ以外のキャンティも 同様で、 昔ながらのキャ
ンティを見つけることはほとんど 不可能 。
しかし、クラシコの東、 テッラヌォーヴァ・ブラッチョリー
ニで代々農家を営む「ジョコリ」に白葡萄も使った懐
かしいキャンティが残っていた んです 。
『 自分が子供の頃から慣れ親しんだ味を捨てる 事が
できず、白葡萄も使った昔ながらの素朴なキャンティ
を今も 変わらず造っている 』
農家 が造るワイン
現当主は「マルコ・カンノ ーニ」。ジョコリ は 5 世代に渡
ってテッラヌォーヴァ・ブラッチョリーニで 農家を営ん
できた 小さな 荘園 。
『トマト、芋 、カボチャ等の野菜を中心に数箇所の畑
で葡萄の栽培も行っていた。ボトリングはせず、組合
に葡萄の状態 で売っていた』
お爺さんが自家消費用に独学でワインを造り始め、
「マルコ」も 12 歳の頃からその作業を手伝い始める。
自然と跡を継ぐようになった。
『父親の代になり葡萄での販売を止め、バルクでの
販売に切り替えた。これを機に 葡萄畑にトレビアーノ
やマルヴァジアを混植し始める 』
土壌はクラシコと違い複雑。シスト、粘土、砂質にそ
れぞれ畑を所有していて、土壌に合わせて品種を植
え分けている。
『 5 世代に渡り、 1 度も農薬が使われた事がない。更
に度の畑も森に接しているので生物多様性が確保
されていて葡萄樹は自然の一部になっている』
北側にはプラトマニョ山があり、湿気を遮るのと同時
に北風が噴くのでカビが少なくベト病等も少ないので
銅、硫黄もほとんど使わないで大丈夫。
『チ ュフェンナ川があるので地中に水脈があり、近年
の気温の上昇や乾燥でも葡萄樹は過度のストレス
を受けずに生育する事ができる』
凝縮したワインを造るつもりはないので収量を過度に
抑えることはしない。鳥や猪が食べて自然と減る程
度が丁度良い。全ては自然に。
『チェントピッチョリ畑ではサンジョヴェーゼの古いクロ
ーンでこの地域にしか残っていないピッコロ・プレコ
ーチェも残されている』
市場の 意見は関係ない
2013 者は「フェデリコ・レネッツィ」。 トスカーナで古典
的なワイン造りのコンサルタントとして独自の栽培・醸
造を展開してきた 少し 変わった人 。
『ドリンカブルで無理のない土地に根差したワインを
造る事が自分の仕事で偉大なワインを造ることには
全く興味がない』
醸造は非常にシンプル。
手作業での除梗、野性酵母
での発酵。醸造時の亜硫酸無添加。温度管理なし
での発酵。
『昔の人達は機械がなくても経験で醸造できた。頬
で 発酵 温度を感じ、高ければ北側の窓を開けて風を
入れればいい。感じることが醸造な の です』
森に住み、豚と牛に囲まれて野菜を栽培し、川でサ
ーモンを釣って自生しているハーブで料理する。動
物の声を聞き、風で天気を知る。
そんな生活をしてきた家族にとってワインは生活の一
部で 自然の恩恵。市場の意見を聞いて造ったワイン
ではないのが ジョコリ の 魅力なのです。