Clos des Boutes クロ・デ・ブート

フランス France / Languedoc

コスティエール・ド・ニームはカリニャンの最適地

コスティエール・ド・ニームのスペシャリストがビオディナミでカリニャン最高峰を目指す
ラングドッグでも立体的でフィネスのあるワインができるんです

フランス最古の葡萄栽培❖

1986年に作られた新しいAOC、コスティエール・ド・ニーム。紀元前からワイン造りが行われてきた歴史ある産地だけにポテンシャルは高く、他にはない個性を持っています。
『紀元前から葡萄栽培が行われていた記録が残る最古の産地である。古代から日照量が多く、雨が少なく1年中風が吹いているので葡萄の楽園のような土地』
海に近く、標高は僅か10~150mで地中海性気候。冷たい北風のミストラルと南の海からの潮を含むマランが吹くので、常に風が通り、湿気がないので病気がほぼない。
『ラングドック・ルーションの中でもローヌに近く、土壌、気候条件もローヌと似ている。ワインの性質的にもローヌに近く、垂直性があり、重心が高い』
今、注目の産地。ラングドックの東端、ローヌに程近いコスティエール・ド・ニームで、古樹のカリニャンに拘り、ワイン造りを始めた注目の造り手がクロ・デ・ブートです。
当主はシルヴァン・ブート。ベルギー国境付近の村の出身で両親はワイン関係の仕事をしており、お爺さんは酪農家だったので、小さい頃から農業と関ってきました。
『自然と農業に興味を持ち、農学を学んだ後、醸造学を学び、モレ・サン・ドニ、サンテミリオンで経験を積んだ後、ニームの大手生産者で5年間働き、この地の特性を学びます』
2002年、遂にニームの町の南、ベルガルドに10haの1枚畑を購入。管理状態は最高ではなかったが、高樹齢のカリニャンに一目惚れしてしまいまったのです。
『畑の南にあるカマルグ自然公園からの海風、マランの影響を受けるので夜間の気温は劇的に下がる。この寒暖差がカリニャンにテンションを与え、フィネスを作る』
十分な日照と雨の少なさ。そして、石を多く含む粘土でシャトーヌッフ・デュ・パプと同じ土壌を持っているのがニーム。カリニャンにとって、まさに理想なのです。
『土壌は鮮新世の青い泥灰岩が主体で表土は石英を含む砂岩でローヌ川に由来する。乾燥が酷くても泥灰岩が保水し、ワインはみずみずしさを失わない』
ニームではINAOの指導でグルナッシュやシラーが増やされましたが、近年ではカリニャンこそが最適という風潮に変わってきました。まさにシルヴァンが考えていた通りになったのです。

 

❖ビオディナミで再生❖

『イタリアで紀元前にローマ教皇に献上されたワインが入れられたアンフォラが出土しました。そのワインはボークール(ニームの西隣)産のものだったのです』
紀元前からワイン造りが行われてきたのは理由があるはず。葡萄樹にとって理想の環境を取り戻し、最も原始的とも言われるカリニャン最高峰のワインを造るべきなのです。
『購入した畑は、長い間、農薬が使われていて免疫力が落ち弱っていた。本来のテロワールを失っている状態。最初の仕事はビオディナミの導入でした』
10haの広い畑ですが1枚畑で周囲は森に囲まれているのでビオディナミが導入しやすかった。土壌を活性化し、有機物を増やし、土壌の持つ本来の力を取り戻していきます。
3年で土壌は本来のポテンシャルを取り戻し、ミミズや虫、30種以上の植物が自生するようになり、鳥などの動物も戻ってきました。葡萄樹も強くなっていくのを実感できました。
『現在、10haの全ての畑では一切の農薬は使われません。勿論、除草剤も使用しないので、安心して食用のニワトリと羊を放し飼いすることができる』

 

❖カリニャンは高貴品種❖

コスティエール・ド・ニームはグルナッシュ、シラー、ムールヴェードル等9品種が栽培できる珍しい産地。その中でシルヴァンが最も愛している品種がカリニャンです。
『グルナッシュもシラーもニーム以外の色々な地域、他の国でも良い結果を出す事ができますが、カリニャンは限られた地域でしか良い結果が出ない。ニームが最適地なのです』
ブルゴーニュでピノ・ノワールが、そうであるように、カリニャンはニームで、そのテロワールとヴィンテージ個性を最も強く表現できる品種なのです。
『樹勢が強いので収量をできるだけ減らす。普通に育てるとシラーの3倍もの収量になり、痩せた味わいになってしまう。シラー以下の収量ならフィネスを得る事ができる』
突然変異が多いのもカリニャンの特徴。突然変異の珍しいカリニャン・ブランも少し所有していて100%カリニャン・ブランを醸します。厚い果実に苦みとミネラルが背骨になる独特の個性。
醸造はシンプル。手作業で収穫後、全除梗して、エナメルタンクで低温から始めて野生酵母のみで発酵。マセラシオンは5~10日間で長すぎないように。
『醗酵後、プレスして、セカンドプレスも少し足す。カリニャンのセカンドプレスはワインに深みとボディを与えてくれる。少しのボディが全体のバランスをとる』
発酵は全て温度管理なしで野生酵母のみで行うので25度程度の高めの温度から始まる。収穫、醗酵時は、一切、SO2は使用しない。ボトリング時に極少量使用。
■レ・ファニエ・ルージュ
1963年に植えられた樹齢55年以上のカリニャンと1995年に植樹したシラーのアッサンブラージュ。この価格ながら収量は35hl/ha。
■レ・ファニエ・ブラン
1970年に植えられたゴブレ仕立のカリニャン・ブランの区画。突然変異種でとても貴重。標高80mの平坦な畑だが小石が多くシャトーヌッフのような土壌。

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