Silvano Follador シルヴァーノ・フォラドール

イタリア Italia / Prosecco

『カルティッツェ』をアッサンブラージュした『ブリュット・ナチュール』

プロセッコの常識を変えた造り手として大注目。カルティッツェを含む異なる個性の5つの畑をアッサンブラージュ。 6ヶ月間のシュール・リー。グレラの香がありながら複雑な味わいは新感覚。

ヴァルドッビアーデネ生まれの兄弟

1999 年設立の若いカンティーナ「シルヴァーノ・フォ ラドール」。プロセッコでは珍しい。 父方の祖父が亡くなり、高校卒業のタイミングだった 「シルヴァーノ」は祖父の 2ha の葡萄畑を相続してワ イン造りを始めることを決意。

『1.5ha のカルティッツェと 0.5ha のカルティッツェに 地続きのヴァルッビアーデネの畑を相続。樹齢も高 く最高の条件だった』

更に母方の畑 2ha も引き受けカンティーナは始まっ た。醸造の経験の無かった彼等は醸造コンサルタン トを雇ってのスタートになる。

『発酵由来の香が支配的で糖度もブリュットで 12g/l と高く、流行にのった造りだった』

一気に人気となり、葡萄が足りなくなった。周辺の栽 培家から買い足して量を増やしていく。 大人気の中、品質向上の為に 2004 年から取り入 れた「ビオディナミ」によって彼等は大きく変わってい くことになる。

『土壌を改善し、自然環境が向上すると葡萄の香も 強くなった。でも、その香は自分達のプロセッコには 感じられなかった』

2007 年、祖先が与えてくれた土地と伝統であるプロ セッコ造りに密接な仕事をすべきと考え、葡萄の購 入を止め、醸造コンサルタントを解約。

『以前は市場に動かされていた。この土地に生まれ た義務を忘れていた。自分が育てた葡萄の香のす るワインを造ることが重要』

この頃の彼等のプロセッコは現在の「シャルマ方式」 ではなく「シャンパーニュ方式」であった。

『シャンパーニュ方式ではグレラの香は表現できない。 発酵の香に負けてしまう。プロセッコである意味が 感じられなくなってシャルマに戻した』

ビオディナミの副作用

2004 年には除草剤、化学薬品の使用を全面禁止。 翌年からは 500P(水晶)、501調剤の使用を開始。 また、肥料は自家製の堆肥のみとした。

『湿気が多い地域なのでベト病が多い。ボルドー液 が多く使われているが段階的に廃止し、海藻の粉 とプロポリスで対応している』

殺虫剤も使わない。畑で使われるのはビオディナミ 調剤と自然の堆肥、海藻、プロポリス等の自然由来 のものだけ。 秋と春に牛の角で熟成させた牛糞を撒く。秋にバク テリアの数を増やして、春に活発化させる。 下草はそのまま残され、年に 2 回刈り込まれる。地 表を耕すことはしない。

『微生物や菌類が豊富に活動している理想的な自 然環境。これによって葡萄の果皮に野生の酵母が 30 種類以上生息する』

これによって以前はできなかった自然酵母での発酵 が可能になった。

プロセッコ・ブリュット・ナチュール

畑が変わり葡萄が変わった。自然酵母が畑に戻っ たことで醸造も変わっていく。

『一番重要なのは自然酵母で発酵できること。だか ら除草剤も殺虫剤も使えない』

収穫は完熟前。糖度が上がり、酸度と香が落ちてい ない段階で収穫。

『グレラの香は繊細。よって温度管理は重要。温度 管理をしないで高温で発酵させれば品種由来の香 は消えてしまう』

更にストレスに弱いこの品種の個性をワインに表現 する為にラッキングは発酵終了後の 1 回だけに減ら した。清澄は行わない。 そして最重要の工程が 6 ヶ月間の「シュール・リー」。 1 次発酵後、澱と共に春まで熟成。ワインが引力で ゆっくり動くことで澱から色々な要素を吸着し、安定 していく。

『1 次発酵後にフィルターに通してしまえば痩せたワ インになる。シャンパーニュ方式のように長く澱とコ ンタクトすればグレラの個性は隠れてしまう』

春は全ての植物の目覚めの季節。このタイミングで ラッキングして 2 次発酵を行う。

■ヴァルドッビアデーネ・ブリュット・ナチュール 何種類も造る生産者が多いプロセッコだが、彼等は 1 種類のみ。それも甘さが特徴のプロセッコにおいて 「ブリュット・ナチュール」。 2014 年、天候不良で熟度が上がらず、収穫量も少 なかった。「カルティッツェ」の生産を諦め、他の 4 つ の畑とアッサンブラージュした。

『素晴しかった。カルティッツェは厚みがあるのでブ レンドすることでブリュット・ナチュールを可能にする。 更に深みが増していく感じだった』

収穫時期は違うので 5 つの畑毎にタンクで 1 次発酵、 シュール・リー後にアッサンブラージュして 2 次発酵 に入る。 畑の個性が無い訳ではなく、逆に畑の個性がしっか りあるのでお互いを補足し、安定させ、更に深みを 増していく。

『ビオディナミで畑毎の個性が強まった。シンプルに なりがちなプロセッコが 5 つの畑の個性が合わさっ て複雑になる。カルティッツェを超えた』

「グレラ」のフレッシュで白桃のような香を隠してしま うシャンパーニュ方式はプロセッコではない。

『グレラの香を尊重しながら、複雑味を目指した結 果が 6 ヶ月のシュール・リーとカルティッツェも含めた 5 つの畑のアッサンブラージュだった』

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